外国人労働者の受け入れ緩和は是か非か
政府は人手不足対策として外国人労働者の受け入れ体制を大幅に緩和する法案を提出しました。
確かに今後急速に少子高齢化が進んで人手不足がますます深刻になっていくことは間違いないでしょう。また、現在日本に約128万人在留している外国人労働者の多くは日本人が比較的敬遠するような単純労務作業に就いているため、その分野に将来も日本人が積極的に就労することは期待できないでしょう。
この厳しい現実の中でもはや外国人労働者を受け入れないという選択肢はないものと思われます。逆にベトナム人は積極的に外国に出稼ぎをしているため、既に少子高齢化になっている多くの先進国の争奪戦になっています。そのうち、日本も外国人労働者を受け入れたくても他国の競争に負けて受け入れができなくなる可能性もあります。
法改正によって永住権を得た外国人労働者が増えた社会の行く末
また、外国人労働者の社会保障制度を明確にして加入漏れがないよう管理していかないと今回の法改正により日本に永住可能な外国人労働者が今後増えていった場合、年金受給年齢になったときに満足な年金が受給できない外国人が増えることが想定されます。そうなると生活が困窮する高齢の外国人が増えて治安の問題を含めて社会が不安定になるおそれがあります。
また、少子高齢化で労働力が不足する時代が当分続くと思われますが、その間不足した労働力を補うために外国人労働者を受け入れ続けると、そのうちAIやIoTの進化・発展から、業務の自動化、AI汎用ロボットの普及によって、人間の労働力が多くの職業で不要になっていった場合、日本人だけでなく日本に受け入れた多くの外国人も職を失うことになる可能性があります。
そう考えると単純労務の仕事がAIに取って代わる可能性を検証しないとこのまま法案どおり多くの外国人が日本に永住するような社会になった場合にますます財政的基盤や社会のしくみについて解決しなければならない問題が噴き出すことでしょう。
そのときは、以前ブログで書いたようにいよいよベーシック・インカムを導入せざるをえないときがやってくるでしょう。この流れは世界的にほぼ同時に進むことが予想されます。もしかしたら、その意識が比較的遅れている日本が急速に少子高齢化と人手不足を迎えているので意外と一番早くベーシック・インカムを導入せざるをえなくなるかもしれません。
まとめ
急速な少子高齢化と人手不足は当分の間続きますので当面外国人労働者を受け入れざるをないと思いますが日本の永住権の条件はもう少し慎重に考えたほうがよいと思います。そのためには汎用型AIロボットがいつどの程度まで進化し、普及していくのか、特に人手が不足している単純労務の多い業界に外国人労働者が配置されていくことが予想されるため、そのような単純労務がAI汎用型ロボットなどに取って代わる可能性はどの程度あるのかということを早急に優先的に研究する必要があります。
そうしたタイムスケジュール感がないところで、遠い将来まで拘束される大きな改革は危険です。目の前の利益に囚われて将来取り返しの利かなくなった時代を迎えることとなった場合、何故あのときそのような制度を性急に決定してしまったのかということになりかねません。もう少し、広い視野を持って制度を真剣に考えてもらいたいものです。今さえよければ遠い将来は次世代の人が何とかうまくやってくれるだろうという安易なその場主義の政策では、かつての原発政策の二の舞になります。