AIのブレイクスルー

それはAlphaGoから始まった

Google DeepMindによって開発されたコンピュータ囲碁プログラムのAlphaGoは、2016年3月に、李世乭との五番勝負で3勝(最終的に4勝1敗)を挙げ、韓国棋院から名誉九段を授与され、2017年5月には、柯潔との三番勝負で3局全勝を挙げ、中国囲棋協会からプロの名誉九段を授与されました。Google DeepMindは世界トップ棋士である柯潔に勝利したことを機に、AlphaGoを人間との対局から引退させると発表しました。これは、おそらく、もはや人間に負けることはないと判断したからだと思います。

ところが、その約半年後の2017年12月5日にAlphaGoよりさらに強いAlphaZeroが発表されました。

AlphaZeroの登場

しかも、もっと驚くべきことは、AlphaGoでは過去のプロ棋士の膨大な棋譜をデータ入力した上で自己学習させましたが、AlphaZeroでは過去の棋譜は全く入力せず囲碁のルールのみの知識で自己学習させて30時間後にはAlphaGoに対して100戦100勝しました。AlphaZeroは囲碁に限らず、チェスや将棋においても過去の棋譜の入力なしにゼロから学んで数時間で最強のソフト(既に世界トップの棋士を負かしているソフト)を負かしています。

従来のAIは過去のビッグデータを分析した上で学習をするパターンでしたが、ルールだけの知識で短時間で自己学習しただけで地球上最強の力を獲得するのはまさにAI進化のブレイクスルーと言ってもいいでしょう。ただし、このアルゴリズムは範囲が有限の世界のボードゲームに限られたものなので、範囲が定められていない不確定な現象におけるアルゴリズムはまだ発明されていません。
今後、AIがさらに進化し、不確定な現象においてもアルゴリズムが確立されれば、自然災害対策や自動車運転上の不測の事態などにも対応できることが期待され、これが次のブレイクスルーとなるでしょう。
また、AIの自然言語学習がさらに進化し、法律の条文や何かの規定などを読み込ませるだけで、その条文や規定を理解し、いろいろな具体的ケースを自己学習して、何か相談や問い合わせをAIにしたときにAIが的確に回答する時代がくるかもしれません。

さらなるAIの進化

しかし、人間は何故そのような回答になるのか理解できないとなかなか納得できないと思いますので、さらに次のステップとしてはこれが一番の障壁になるかもしれませんがAI特有のブラックボックスをオープンにし、理由をつけて回答することがAIコンサルティングの最終ステップになるのかと思います。しかし、AIがここまで進化すると国民は便利になるかもしれませんが、多くの士業やコンサルタント等は職を失うおそれがあります。しかし、このようなAIコンサルティングは需要と供給の関係で中小・零細企業がそれを使用するには高額の料金を支払わなければならないとなれば、逆に士業の先生やコンサルタントがAIコンサルティングを利用して効率的に仕事ができるようになるでしょう。

AIの進化の脅威

いずれにしても、まだボードゲームに限るとはいえ、データなしに基本ルールの情報だけで極めて短時間の自己学習で人間の能力をはるかに凌駕する能力を身に付けることができるということは、人間が長年かけて多くの先人が培って引き継がれてきた戦略や技を短時間の学習で超えたことになるので、ある意味AIの自己学習能力は人間にとって将来脅威になる可能性を秘めているかもしれません。

AIの進化を止めることができない以上、核エネルギーの発見が核兵器に利用されたように、AIの自己学習能力が人間以上の知能を持った戦争用ロボットの開発に悪用されないよう世界的な規制を図る必要があります。人類がAIロボットに支配されないために。

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