理学系と工学系のマインドの違い

文系の人から見て理工系の人というのは理学系も工学系も同じ志向を持っていると思っている人が多いでしょう。ところが理工系の人間から見ると理系と工学系は全く違う志向を持っています。例えていうと、同じ文系でも法律学と文学の違いくらいの違いがあると思います。
どこがどう違うのか。
根本的にマインドが違います。

一言でいうならば理学系は哲学者で工学系は発明家です。
理学系はものごとや自然現象のしくみなどモノや現象などの真理を追究する哲学を数式や実験、観察などで証明することが理学系です。

工学系は、基本的な法則や理論を使って何か新しいモノを発明するような志向を持つエンジニアタイプです。

したがって、理学系の基本的な志向は何か世の中に役に立つことを目的として研究しようとするものではなく、純粋に何故そのようになっているのか、その本質的なしくみや構造はどうなっているのかという人間の本質的な本能ともいえる知識欲がモチベーションとなっている場合が多いと思います。
私は典型的な理学系でモノづくりや発明にはほとんど興味がありません。

ほぼマインドは哲学系です。
構造に興味があるのは、宇宙、真空、光、ニュートリノ、素粒子、大脳、経済などです。

また、面白いことに同じ学問なのに国によって文系だったり、理系だったりするものがあります。たとえば、心理学は日本では文系に属しますが、欧米では一般的に理系の範疇に入ります。おそらく、統計を扱ったり、精神医学に近い考え方をするからなのかもしれません。

しかし、今の時代、数式は文系と言われている多くの学問で使われています。ほぼ数式を使わない学問は、法律学、文学、歴史学くらいでしょう。
特に経済学などは線形代数など数学を駆使して研究されていますし、金融工学や経営工学などは「工学」と名のつくくらいで、数式が駆使されています。
哲学を数式で証明するのが物理学であるならば、経済のしくみを数式で解く経済学が何故文系なのでしょう?
数式は様々な学問に使われていることから、今や文系と理系の区別をつけることはナンセンスになっていくでしょう。
特にプログラミングなどは、課題の構造を分析し、プログラミング言語を使って論理を組み立てて答えを求めるものなので、文系や理系の区別をする意味がないでしょう。

日本の大学教育においてもこれからは文系と理系のカテゴリーに無理に当てはめないことが求められます。

自分は文系だからとか、自分は理系だからという観念は、いろいろとこれから行動する上で足かせになることでしょう。

数学が不得意だから自分は文系向きだという考えは捨てるべきでしょう。法律や文学を学ぶことを除いては。

数学は今やほとんどの学問で必要な知識です。また、いわゆる文系と言われている学問でも数学的なセンスが必要なときは少なくありません。
これからの日本の教育は、英語、プログラミング言語に加えて数学に力を入れていくべきでしょう。