晩婚化の原因
昔は、洗濯は洗濯板の上に衣類を置いて洗濯石鹸をつけて手でごしごしと洗い、何度も水ですすいで手で絞って干していましたが、今は自動洗濯機で乾燥まで自動でやってくれ、さらに2017年には全自動衣類折り畳み機が出現しました。
今や洗濯はほとんど機械がやってくれます。また、掃除も昔はほうきで掃いたり、掃除機で吸い取ったりしていましたが、今はロボットが掃除してくれます。また、炊事にしても電子レンジでチンすれば、簡単においしい料理が手に入るようになりました。このように家事は昔に比べて格段に自動化され、自由な時間が多くなりました。
この便利さは、男女を問わず独身者にとって、非常に都合がよくなっており、一人暮らしをしてもさほど苦ではなくなっています。
昔、一人暮らしの男性は外で働いて家に帰って家事をする時間と手間をかける余力はなかったと思いますので、社会人になって安定的な生活を得るために結婚を望む人が多かったと思います。女性も結婚後は共稼ぎができるほど家事をする時間に余裕がなかったため、専業主婦になる場合が普通でした。
このように結婚をする動機として男性は社会に出ると生活の安定を求め、女性は専業主婦として経済的な安定を求める場合が多かったと思います。
したがって、昔は男性も女性もそれぞれが違った安定を求めて結婚することが普通だったため、晩婚化するおそれはあまりありませんでした。
ところが、近年は男女とも一人暮らしが苦ではなく、自分の好きな時間を昔より持てる時代になったことから、結婚相手を急いで見つける必要がなくなりました。
また、昔はいい年をして独身のままでいると周りから変わった人に見られたり、男の場合一人前になっていないとか、異性に興味がないのではというような偏見の眼で見られたりしていました。しかし、今はどの職場でも中年になっても独身者はゴロゴロいますので、偏見の眼で見る人はほとんどいない時代になっています(相当な田舎にいけば別かもしれませんが…)。
晩婚化に伴う卵子、精子の劣化
昔よりも医療技術の発達や栄養が良くなったこともあって、寿命が延びて若返り、出産年齢も時代とともに高くなってきています。
高齢出産とは「35歳以上の初産、2人目以降であれば40歳以上」です。 ただし、1993年までは30歳以上が高齢出産とされていました。
30歳以上を高齢出産とすると、あまりに多くの人が「高齢出産」になってしまうので便宜的に引き上げたということと、WHO(世界保健機構)や諸外国が35歳以上を高齢出産としているため、日本もそのようにしただけで、生物学的には30歳以上が高齢出産と考えられています。
卵子を育てる袋(卵胞)には、もととなる原始卵胞というものがあって、女性は、生まれる時にはこの原始卵胞を卵巣に約200万個蓄えています。
そして、生まれてから月経のはじまる思春期頃には、約170万個から180万個が自然に消滅し、 思春期・生殖年齢の頃には約20~30万個まで減少します。
その後も減少し続け、一回の月経の周期に約1000個が減少し、毎日30~40個の割合で減り続け、閉経のときにゼロとなります。
原始卵胞は人間の寿命と同じく長期間生きることができますが、年数が経つと徐々に劣化していき、年齢が上がるほど流産率やダウン症など染色体異常の胎児が生まれる確率が高まります。
正常に妊娠できる可能性が高いのはホルモンバランスが安定している20代と言われています。一般的に33歳~35歳ころから卵子の劣化が始まります。
また、男性の場合は年齢に関係なく、精子は繰り返し生産されていきますが年齢とともに確実に老化・劣化していきます。一般的に精子の能力は、「数」、「運動量」、「質」の3要素によって判断されます。このうちのどれかが異常であっても不妊の原因となりうるものと言われています。
2017年に欧州4か国で精子の数の検査による研究結果が発表され、40年前に比べて精子の数が半減したというショックなニュースがありました。日本人男性も同様に相当数の精子の数が昔に比べて減少していると言われています。これらの原因は、定かではありませんが、加工食品などに含まれる様々な化学物質や大気汚染などの環境、忙しくなっている現代人の仕事のストレス、睡眠不足、肥満、喫煙、過度の飲酒等による生活習慣などが原因ではないかと言われています。
特に、数や運動量は正常なのに不妊の原因が男性にある場合の多くは、質が劣化しており、受精卵を最初から分裂させることができないものや途中で分裂が止まることが原因となっています。その原因の多くは精子のDNAが傷つけられ損傷していることです。その原因は先ほどの環境汚染や生活環境の影響で精子のDNAが損傷すると言われています。
このように不妊の原因は、女性側と男性側で半々だそうです。
晩婚化が進み続けると日本はどうなるか
一方、2017年の厚生労働省統計情報部「人口動態統計」によると、平均初婚年齢は夫が31.1歳、妻が29.4歳で、1950年を見ると、夫は25.9歳、妻は23.0歳となっており、男性は約5歳、女性は約6歳プラスとなっていて、時代とともに晩婚化しています。
また、日本人の平均出産年齢は、『人口動態統計』(2017年)によれば、第1子出生時の母の平均年齢は30.7歳です。その22年前の平成7年(1995年)では平均27.5歳、さらにその20年前の昭和50年(1975年)では25.7歳と、およそ40年間に5歳も平均年齢が上がっています。また、一人の女性が一生のうちに出産する子供の平均数(合計特殊出生率)は1.43人(2017年)です。人口を維持するためには平均して2人の子供を出産する必要があります。
このまま晩婚化が進むと年齢に比例して出産年齢も上がり、生涯せいぜい一人の子供しか生めない時代が当たり前になってくると、確実に人口が減っていき、国が国として機能しなくなっていくか(早い話滅びるか)又は外国人労働者の永住権緩和政策により日本が外国人だらけになり純日本人が消滅する世の中になっていくでしょう。
まとめ
現在は昔に比べて、電化製品の発達、スーパーやコンビニにある一人用の野菜や惣菜、様々な種類のレトルト食品やインスタント食品、ワンルームマンション、コインランドリー、おひとり様用のカウンターがあるラーメン店、漫画喫茶、カラオケなど一人でも気楽に入れる店の増加など仕事で忙しくても一人で十分に満足な生活を送ることができる時代になっていることから、世間体を気にしたりせず、子供がほしいと思ったりせず、結婚したいと思う人が現れなければ、無理に結婚したいと思う人は少なくなってきていること、そのため晩婚化が進み、自動的に出産年齢も高齢化することとなり、さらに環境汚染や生活習慣による影響も加わった卵子や精子の質の劣化などによる不妊の増加、さらには富裕層と貧困層の二極化が今後も進むことによって、貧困層の男性が経済的な理由から結婚難民となる人がさらに増えていくこと、共稼ぎの女性は子供を産むと元の職場に容易に戻れる環境がまだ十分に定着されていないことなどから、今後とも少子化はますます深刻な状況となるでしょう。
これから、少子化を防ぐためには平均して子供を2人産んでいく必要があることを考えると日本は絶望的な状況にあります。
少子化を抑制する対策としては、その要因を徹底研究し、晩婚化や高齢出産化がこれ以上進まないように、高齢出産の年齢になる前に2人の子供を産める社会環境の整備の徹底が必要でしょう。